西洋における深層心理学
西洋における深層心理学の探求は、今日までに大まかにみて三つの層を見いだしているようだ。
第一は、先ほど”海中の氷山”に譬えて示した「個人的無意識」の層である。フロイト自身が発見したところの無意識層で、ここには意識から忘れ去られた事柄や、抑圧された心理的な内容が潜んでいるとされる。次に第二の層としてソンディによって提唱された「家族的無意識」の層があり、その奥には第三の層として、ユングの提唱した「集合的無意識」層が広がっている。この「集合的無意識」には、種族や民族、ひいては人類の最古の祖先までのすべての経験が集積されており、究極的には、宇宙それ自体にもつながっていくことが示唆されてきたわけである。
一方、フロイトに先立つこと数千年以前に、仏教(唯識学派)ではすでに、きわめて整足したかたちで深層心理が明かされていた。驚嘆すべき洞察眼というほかない。それによると心すなわち識は、その表層部分から、五識、六識、七識、八識へと深層に向かって深まり広がっていると、説かれる。物事を識別する心の作用をとらえつつ、生命の全体像に迫ったのである。
608p
『池田大作全集』第119巻
私の人間学
聖教新聞社
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