六月二十一日
ぼくをこんなに静かな真実の感情でみたしてくれるものは、族長時代の生活の姿にほかならない。それをぼくは、ありがたいことに、何の気どりもなしにぼくの生活のなかに織りこむことができるのだ。
幸福な気持ちだ、ぼくの心は素直な単純な人たちの喜びを感じ取ることができるのだ。それらの人は、自分で育てたキャベツを食卓にのせて、それを味わうのだ。いやキャベツだけではない。すべてのよい日々、それを植えつけた晴れた朝、それに水をそそぎ、伸びゆく成長を楽しんだ心地よい夕べ、それらすべてを食事のひと時にふたたび味わうことができるのだ。
398p
『若いウェルテルの悩み』
ゲーテ
河出書房
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