からだを借りていただけ

このからだの細胞群が、素敵な仮の宿を与えてくれていたのです。この驚くべき脳は、まさに数十億、数兆のデータの断片をいかなる瞬間もまとめ上げ、わたしのために、この環境の三次元の知覚をつくり出していたのです。
それは継ぎ目のない現実であるだけでなく、安心できるもの。この幻想の中で、生物学的な細胞組織が効率よく、わたしという形をつくりだしたことに、うっとりしてしまいました。そして、その設計の簡潔さに畏敬の念を抱きました。
わたしは、たくさんの機能がからみあったひとつの複雑な合成物。外部の世界から流入する、さまざまな感覚のメドレーを統合できる、からみあう細胞の一集団。そしてシステムがきちんと機能しさえすれば、現実を知覚できるひとつの意識を自然に生みだしてくれるのです。
不思議でなりません。このからだの中で、つまりこの生命形態の中で、多くの歳月を過ごしてきたのに、からだを借りていただけだったことに気づかなかったなんて。
46p

『奇跡の脳』脳科学者の悩が壊れたとき
ジル・ボルト・テイラー著
新潮文庫

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント