自発的な活動

 すべて自発的な行為において個人は世界をつつみこむ。かれの個人的自我は損なわれないばかりか、いっそう強固になる。というのは、自我は活動的であるほど強いから。物質的財産の所有であれ、感情や思想のような精神的な能力の所有であれ、所有そのものには何ら純粋な強さはない。また事物の使用や操作のうちにも強さはない。われわれの使うものは、われわれがそれを使うからといって、われわれのものではない。われわれのものとは、人であれ無生物であれ、われわれが創造的な活動によって純粋な関係をもっているものだけである。われわれの自発的な活動から生まれるこれらの性質のみが、自我に強さを与え、ひいては自我の統一性の基礎となる。自発的に行動できなかったり、本当に感じたり考えたりすることを表現できなかったり、またその結果、他人や自分自身にたいしてにせの自我をあらわさならなかったりすることが、劣等感や弱小感の根源である。気がついていようといまいと、自分自身でないことほど恥ずべきことはなく、自分自身でものを考え、感じ、話すことほど、誇りと幸福を与えるものはない。

『自由からの逃走』
エーリッヒ・フロム著
現代科学叢書

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