他者を励まし助ける気分

 虚栄心の強い人の役割は常に、期待する者、奪う者の役割である。こういう人間と、他方、発達した共同体感覚を示し、いわば「私は他者に何を与えることができるか」という問いを胸に秘めつつ生きている人とを、鋭く対比してみるならば、その著しい価値判断の違いが認識されるだろう。
 
 われわれが今日、途方もない昔からの人類の経験の表現であるこうした言葉(受け取るより与えるほうが幸いである)の意味を熟慮するならば、われわれは、ここで考えられているのは、他者を励まし助けるという気分であることを認識する。その気分は、精神生活均衡、調和というものを自ずからもたらす。それはあたかも、与える者のなかに自ずから生じてくる神々からの贈り物のようなものである。他方、受けとることに重点を置いている人々は、大抵注意力散漫で、不満屋であり、自分が幸福になるには、そもそも何をもっと獲得し、何に到達しなければならないか、という考えにたえず心を煩わしているのである。
 
『人間知の心理学』
A・アドラー著
春秋社

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